スタートアップの成長を左右するビジネスモデルの進化の法則とは?

スタートアップは初期のアイデアや、ビジネスプランだけで成功できるわけではありません。

成功を収めるためには、ビジネスモデルの「進化」が不可欠です。

しかし、その進化のさせ方によっては成長できないどころか、逆に足かせとなることもあります。

ビジネスモデルをどのように進化させれば競争優位を築き、成長できるのでしょうか。

ビジネスモデルに必要なのは「新規性」か「効率性」か

モデナ・レッジョ・エミリア大学等の研究者らが267社のハイテク・スタートアップを対象に行った調査があります。

この調査では企業の経営者や創業者にインタビューを実施し、創業時のビジネスモデルの特性や、その後の変化、そして成長との関係を分析しました。

成長の指標としては売上ではなく、フルタイムの従業員数の増加率が採用されています。

これは売上や利益は業界によって大きく異なるため、より客観的な指標として従業員数の増加が適していると考えられたからです。

この調査のポイントはビジネスモデルの「新規性」と「効率性」がどのタイミングでどのような影響を与えるのかを検証したことです。

さらに、この2つの要素を組み合わせた「ビジネスモデルの両利き」がどのように成長に関係するのかも分析されています。

初期のビジネスモデルの新規性は成長に直結しない

調査結果を分析したところ、意外なことが分かりました。

創業時のビジネスモデルの「新規性」は成長パフォーマンスと直接的な関係がなかったのです。

つまり、革新的なビジネスモデルを作ったからといって、一気に成長できるわけではないということです。

一方、創業時のビジネスモデルの「効率性」も、当初の成長にはあまり影響しないことが分かりました。

創業の初期段階では新規性も効率性も、成長のカギにはならないということです。

しかし、時間の経過とともに状況は変わりました。

創業から数年経った段階で、効率性を向上させた企業はそうでない企業よりも成長率が高くなっていたのです。

これは創業初期の混乱期を乗り越えた後であれば、効率化が事業の拡大に影響しやすいからと考えられます。

ビジネスモデルの両利きはタイミングが重要

また、「ビジネスモデルの両利き」が時間の経過とともに異なる影響を及ぼすことも分かりました。

創業直後に、新規性と効率性の両方を高めようとした企業はかえって成長が遅くなる傾向がありました。

これはスタートアップの限られたリソースを分散させてしまうためと考えられます。

しかし、時間が経過し、事業が軌道に乗ってから両利きを強化した企業は成長していました。

つまり、創業時はどちらか一方に集中し、成長に応じてバランスを調整することが、成功につながるということです。

スタートアップ経営者が学ぶべきポイント

この研究の結果から、スタートアップ経営者が実践できるポイントは明確です。

まず、創業時には「新規性を追求しすぎない」ことが重要です。

確かに、ユニークなアイデアは魅力的ですが、市場がそれを受け入れるまでには時間がかかるものです。

そのため、最初から斬新なビジネスモデルを採用するよりも、市場の反応を見ながら適応していく対応が求められます。

次に、事業が成長し始めたら、効率性を高めることにフォーカスすべきです。

初期の試行錯誤が終わった後、拡大するためのプロセスを整え、コストを抑え、組織を最適化することで、さらなる成長を実現できます。

そして、事業が安定期に入ったら、新規性と効率性の両方をバランスよく取り入れることが、持続的な成長につながります。

特に、新しい市場への進出やビジネスの多角化を考える際にはこの両利きを意識することが重要になります。

スタートアップ業界では「新しいアイデアこそ全て」という考え方が強調されがちですが、今回の研究はそれを覆すものでした。

ビジネスモデルは進化させるものであり、タイミングを見極めて適切な変更を加えることが、成功へのカギとなります。

経営者は現在の自社のフェーズを見極め、適切な戦略を選択しましょう。